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2019生研健康食品講演会

 
2019生研健康食品講演会
メディカルライスを知ろう
~メディカルライスで健康長寿を~
 
 
 
 令和2年2月14日(金) 13時30分より、京都大学百周年時計台記念館において、「2019生研健康食品講演会」を開催した。
 先ず基調講演として「健康・長寿とメディカルライス」と題して、一般社団法人メディカルライス協会 渡邊 昌理事長が、長寿時代の健康維持のために日本の伝統的食事、特に玄米食が有効であることを栄養学、疫学、そして最新の機能性研究観点から概説された。ご自身の経験も踏まえ玄米に含まれる食物繊維、γ-オリザノール、フェルラ酸などの抗酸化成分、GABA、ビタミン、ミネラルなどにより生活習慣病を予防し特に腎機能の低下した人には玄米食により透析患者になるリスクを軽減することなどをわかりやすく解説された。
 続いて築野食品工業株式会社研究開発本部基礎研究部 橋本博之部長が、「健康機能が注目されるこめ油~分析技術が先導する食品研究~」と題して、米ぬか油に含まれる機能性成分の高速液体クロマトグラフィー/質量分析装置を用いた検索、さらにそれらの成分の精製、製造技術について講演された。米ぬか油に特有の成分であるγ-オリザノールの動物体内での動態についての最近の成果を述べられた。γ-オリザノールはフェルラ酸とトリテルペンアルコールのエステル化合物であるが体内では完全に加水分解を受けずにγ-オリザノールの形である程度の量が存在する事を見出し、このγ-オリザノールが各種器官に蓄積して抗酸化活性をはじめ様々な機能を発現することを述べられた。
 休憩のあと、琉球大学大学院医学研究科 益崎裕章教授が、「“満足できない脳”を“足るを知る脳”に変える!~玄米機能成分をめぐる脳科学研究~」と題して、疫学的研究、臨床研究、さらに分子生物学的メカニズムによる玄米食の生活習慣病、肥満予防の効果について講演された。マウスを用いた動物実験で米ぬか特有の成分であるγ-オリザノールは脳血液関門を通過して脳に働き動物性脂肪摂取依存を抑制する効果を見出したことを述べられた。γ-オリザノールは喜びを受け取るドーパミンの受容体の遺伝子発現に関与して食事による満足感を得ること、さらに認知機能の亢進にも役立つことを見出したことなど最新の知見を述べられた。
 続いて神戸女子短期大学 赤桐里美准教授が、「玄米食で味覚をだませるか~ストレスフリーな減塩への挑戦~」と題して、玄米に含まれるGABA(γ-アミノ酪酸)が食塩量を減らしても食物の塩味を感じられるような錯覚を起こすことで食物に加える食塩の量を減らせるかということについて講演された。玄米で調理したおにぎりは白米で調理したものに比べGABA含量が1.5倍ほど高かったので同一の塩分量でも官能試験の結果より塩味が強く感じられた。このことからGABAを多く含む玄米食は塩分の摂取の減量に有効ではないかとのことであった。
 その後、懇親会が開かれ講演者と参加者の間でディスカッションや交流がはかられた。