食物機能研究室

Division of Food Function and Chemistry
 
室長  眞 岡 孝 至
(薬学博士)Takashi Maoka Ph. D.

研究概要

専門分野、天然物化学、特に天然カロテノイドの構造研究、代謝、活性の研究。
日本カロテノイド研究会とアスタキサンチン研究会でそれぞれアワード受賞。


   食物機能研究室では天然に存在する機能性有機化合物の探索とそれらの食品、サプリメントや水畜産分野への応用開発を手がけております。
   NMR、MSなどを用いた天然有機化合物の構造決定をはじめ、天然有機化合物の生理活性、さらに癌や生活習慣病の予防効果などの検討をしています。
   その中で天然色素であるカロテノイドについては特に重点を置いて取り組んでおります。天然には約750種類のカロテノイドが存在します。そのうち100種あまりの新規カロテノイドの構造決定を手がけてきました。(YABBI5260,Marine Drugs Maoka2011,TETL39353)また200種以上のカロテノイドの分析データを蓄積しております。さらにカロテノイドの微量分析方法の開発に取り組み、これらの方法を用い動物やヒトまた培養細胞でのカロテノイドの吸収、代謝、動態などの検討も行っております。これらの成果は198編の論文と17編の総説として国内外の学会誌に報告してきました。 国内外の大学や研究所などとの共同研究も積極的に行っています。理化学 研究所とのアブラムシ色素の研究は、Scienceに掲載され
ました。
   水産や畜産分野でもカロテノイドは重要な化合物です。魚の色揚げや卵黄の品質向上に関する研究にも取り組んでいます。
   さらにポリフェノール類や多糖類などの多くの天然有機化合物の研究も行っています。
   またNMR、MSによる有機化合物の構造解析や依頼分析を受け付けております。昨年よりWaters社のWaters Acquity LC Xevo G2-S Q Tof MSシステムを導入しました。この装置では、通常のESIイオン化によるLC/MS分析はもとより。MS/MS測定や高分解能MSの測定ができます。この装置とNMRによりこの一年間ですでに3種の新規カロテノイドの構造を決定する事ができました。
非常に高感度でngオーダーでの検出、定量が可能です。フォトダイオードアレー検出器によるUV-VISスペクトルがオンラインで測定できるためカロテノイドをはじめとする天然色素類の定性、定量分析に力を発揮しています。
NMR Varian INOVA-500
NMR Varian INOVA-500
Waters Acquity LC Xevo G2-S Q Tof MS
Waters Acquity LC Xevo G2-S Q Tof MS
  カロテノイドを中心とした分野の基礎研究にも力を注いでいます。多くの大学や研究機関と共同研究を行いその成果を公表しています。
  最近、流氷の妖精クリオネの赤色色素の蓄積のメカニズムや役割に関して報告しました。

主なテーマ

(1)天然の機能性有機化合物の探索とその食品、水産、畜産分野への応用開発

特にカロテノイドなどの抗酸化活性物質等のスクリーニングと応用開発を行っています。パプリカカロテノイドの発癌予防効果 (Cancer Lett2001, Molnar12)の検討を行ってきました。
さらにアスタキサンチン、フコキサンチン、カプサンチンなどのカロテノイドが活性酸素やフリーラジカルと反応するメカニズムの解析(J.Agr.Food.Chem.2001a,T.L.2006, J Agric Food Chem 2011.59 10872)等にも取り組んでいます。


(2)天然有機化合物の分析、構造解析と機能研究

NMRやMS/MSなどの機器分析を駆使して微量カロテノイドの構造研究(J.N.P2001Oyster, J.N.P.2005 Cobicula, J.Agr.Food.Chem 2001b)に取り組んでいます。
またHPLC, UV-VIS, MSを組み合わせた天然カロテノイドのオンライン分析法の開発を行いました。それらは国際カロテノイド学会などで発表しています。100種以上のカロテノイドのMS/MSを測定しそれらのデータはMass Bank.jpに公開しています。


(3)カロテノイドの機能研究と応用開発

アスタキサンチン、フコキサンチン、ルテイン、β-クリプトキサンチン、カプサンチンなどのサプリメント開発の為の基礎的なデータ、吸収代謝分析、安定性評価などを行っています。

依頼分析

(1)NMR Varian INOVA-500による依頼分析を行っています。

測定核種 : 1H, 2H, 13C, 15N, 19F, 31P, 17O
測定項目 : 通常の一次元測定に加え,COSY, NOESY, TOCSY,HSQC,

HMBC,INADEQATEなどの二次元測定や特殊測定に応じます。

ナノプローブによる微量物質(1mg程度)の13C-NMR測定も行います。


(2)Waters Acquity LC Xevo G2-S Q Tof MSシステムによるMSおよびMS/MS測定、LC/MSによる定性、
       定量分析。

ESI/MS MS測定


(3)HPLCによる成分分取

天然物や合成混合物から目的成分の実験室レベルでの分取を行っています。

カロテノイドや天然有機化合物についての出張セミナー、講演に応じています。
カロテノイドの一般的な総説はこれをご覧下さい。